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PROFILE
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<< 遠山本流域のイワナ | main | 梅雨時期の遠山アマゴ >>
ある南アルプス水系のイワナ
_6150040.jpg
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
この日、しばらく足が遠のいていた、とある南アルプス水系の河川を訪れた。元々この河川は自分にとっていわゆるホームグラウンド的な河川であったが、何年かの時間を掛け下流域から上流域まで網羅しつくして、他のさまざまな河川へ釣行しているうちに、たまに僅かな区間を短時間釣行する事はあっても、まともに釣行するのはこの日が本当に久しぶりで、気が付けば約5年という年月が過ぎてしまった。
久しぶりに訪れたこの河川は、2009年7月の大水の影響と思われる爪痕が残っており、ある場所では流れが変わり、淵が埋まったりと、以前と渓相が変わってしまった所もあった。
そんな中あるポイントで、上の写真のイワナが釣れた。頭、腹周り、尾鰭が大きくサイズも29cmと悪くないコンディションのイワナであでった。
魚体の特徴を観察すると、背中には黒色系の大きく滲んだような斑文があり、白色系の虫食い斑点が背鰭から後ろ側にうっすらと確認出来た。今までの自分の経験に照らし合わせてみると、南アルプス水系の他河川で確認出来る、この地域の在来種イワナと稚魚放流されているニッコウ系のイワナとの交配種に近い特徴を持つイワナであった。

TACKLE
SMITH TRBX-53MTH
Daiwa EXIST2508 RCS2506スプール
T-Craft StagMode 27TDN-C
ANRES AX-50S
HUMP バルサ FAT 50S
RayTune Phase type2 50S

TACKLE HOUSE Buffet 55SD
_6150049.jpg ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
_6150056.jpg
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
曇天の夕まづめで暗い写真になり、非常に分かりにくいかもしれないが、頭から背鰭までの背中の柄は、白色系斑点は見られず、黒色系の滲んだ紋様が浮かぶ。一方、背鰭から尾鰭までにはうっすらと白色系の斑点が確認出来る。
_6150054-2.jpg
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
この河川も昔は一般的にヤマトイワナと呼ばれる、在来種イワナ(地域型個体)が生息する河川であったが、水産資源の枯渇により、ずいぶん前から在来種イワナと違った他地域のニッコウ系イワナが盛んに稚魚放流され、在来種イワナや在来種との交配がはっきりと分かるイワナは既に存在しないと思われていた。事実自分が足繁く通って多くの個体のイワナを記録していた、5年以上前の段階では、既に写真のような個体を確認する事は全く出来なかった。
_6150033.jpg
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
この日同じ河川の下流域で釣れた7寸程のイワナ。最初の写真のイワナと同じような特徴も持つ。
FH000009-2.jpg
MACRO HEXANON55mm F3.5 fuji Venus 400
2005年9月に同じ河川の同区間で釣れた28cm程度のイワナ。この頃は多少の個体差はあったかもしれないが、ほぼ上の写真の様なイワナしか見る事が出来なかった。先の写真のイワナと、上の写真のイワナの外観上の違いを比較すると一目瞭然で、側腹から背中にかけて白色系の斑点が確認出来、魚体の柄の特徴が全く違う事がお分かりになるだろう。実の所この個体こそがこの地域に稚魚放流されている別地域から入植されたイワナである。(厳密にいうとヤマト系イワナと同様に同じニッコウ系のイワナでも各地域で違った遺伝子を持つイワナが存在しており、それら別々の地域型個体種の交配型が放流されている可能性が高いと思われる)

ではこのイワナはどういったイワナなのであろうか?
足は遠のいていたというものの、過去この河川を長く見続けてきた自分にとって、初めてこのような交配種型のようなイワナを確認できたことは、大変な驚きであった。
この河川によく通っていた当時は、自分の過去の経験や釣友達の情報、地元の釣人達からの情報を総合的に検証して、恐らくこの河川では在来種に近いと思われる個体は、既に絶滅してしまったとの認識を持っていた。
しかし、この日、このような個体のイワナを自分が二尾釣った事実と、後日談として聞いた話で、昔この河川に一緒に釣行していた友人の一人が、実は2年程前から、数は少ないが背中に白色系斑点が少ない、もしくは無いイワナが釣れている事を話してくれた事もあり、一匹や二匹程度確認出来た事では無いと感じている。

そもそも、このイワナはどういったイワナなのか?実際のところ自分は昔この河川に生息していたといわれる、純粋な地域型個体の在来種イワナを残念ながら見た事は無い。友人や地元の人に聞いても見た事は無いと同じ答えが帰ってくるし、昔を知っている高齢の釣り師に聞いてみても、イワナの種の違いに対しての認識があまり無いのが現実で、よく分からないという返事が返ってくる(もしかしたらどこかに記録写真が残っている可能性もあるが)
ただ、自分の経験上、魚体の特徴をみると他の水系や河川で見られる、ヤマト系イワナと放流種の交配イワナだと考えるのが妥当だと思う。(この河川の固有在来種かどうかは別として)

こういった状況を踏まえて、では、以前確認出来なかったこのような個体のイワナが、ここ数年何故確認できるようになったのであろうか考えてみた。

5年以上前からこういった在来種個体が残っており、当時放流系イワナしか釣れていなかったが、
 たまたま近年釣れてしまった。
5年以上前に在来種は絶滅していて、ここ数年の内に他地域のヤマトイワナ系の魚の放流が行わ
 れた。
5年以上前(2007年以前)はこの河川の本流域では在来種イワナがほぼ絶滅状態であったが、
 実はこの河川の支流の上流域に在来種イワナが残っており、何かのきっかけで本流域に在来種
 イワナが落ちてきた。

以上、3つのケースが考えられるのではないかと思われる。
個人的な考えになるが、それぞれのケースを検証してみると...

,亡悗靴討蓮可能性として否定は出来ない。ただ、あの当時友人を含めかなりの数のイワナを釣り上げたにもかかわらず、(ほとんどリリースを行っていた)このような個体に一尾もめぐり会わなかった点は疑問に残る。
基本的にこの河川を管理する漁協が放流するイワナの元である養魚場は放流事業が始まってから変わっておらず、漁協自体がいわゆるヤマトイワナ系を養殖する養魚場に切り替えてはいないので、漁協が放流した事は考えられない。(現在ヤマトイワナ系のイワナを養殖しているのは、公的な機関である長野県木曽水産試験場と木曽の民間養魚場しか無い)漁協が放流してないとすると、個人もしくは団体が木曽の民間養魚場から稚魚等を購入し密放流を行った可能性はある。(県の水産試験場の職員と話したところ民間養魚場からは個人販売も出来るそうだ)
2009年7月にこの河川の水系では大水が発生し、河川に流れ込む支流も土石流が発生したりして荒れた経緯がある。この大水をきっかけに、細い支流に人知れず残っていたこの地域の在来種イワナが本流域に落ちてきたケース。2009年7月といえば今から3年前に当たるが、この個体のイワナが釣れだしたと考えられる2年前の2010年頃とほぼ合致するので、のケースの可能性も高い。

現在のところ真相は謎であるが、もしのケースであったら大変夢のある話で、在来種保全が叫ばれる現在、貴重な発見になると思うし、この地域にとって大変な財産であると思う。

今後は、地元での聞き取りや現地での調査を含め、追跡調査を行ってみたいと考えている。

※ちなみに一般的にヤマトイワナと呼ばれるイワナも遺伝子解析調査を行ったところ、各地域や水系によって遺伝子は違うといった結果が出ている。たとえば木曽の養魚場の種沢となっている河川に生息する在来種イワナと、南アルプス水系の在来種イワナでは遺伝子も違うし、同じ南アルプス水系でも遠山水系と他の水系ではまた遺伝子が違う結果が出ている。このため、自分は一般的な総称としてヤマトイワナという言葉を使う事はあるが、基本的にはその地域の固有種イワナ、在来種イワナという呼び方をしている。
2012.06.17 Sunday | 18:48 | 交配種イワナ